東京地方裁判所 昭和44年(ワ)11695号・昭45年(ワ)1889号 判決
以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。
〔判決理由〕(四) 以上、原告が本件事故により受けた全損害は合計九二六万九三九〇万円となるところ、原告には前記過失があるから、これを斟酌して被告が原告に対し賠償すべき金額を定めなければならない。本件において、原告の治療費が三〇〇万円を超える多額に達したことは前示のとおりであり、被告は原告に対しそのうち三〇五万一六六五円を支払つたことは当事者間に争いない。交通事故によつて被害者が受けた損害のうち、治療費に関してはなるべく十分な補償を得られることが望ましい。一方、本件事故発生に寄与した原告の過失は被告の過失に比べてはるかに大きいことは前記のとおりである。これらの事情に基づいて被告が原告に対し賠償すべき金額を判断すると、原告が蒙つた前記全損害の約三分の一に相当する三〇五万一六六五円は支払わねばならないが、同時に、右金額をもつて足りるものと考える。すなわち、被告は既に原告に対し治療費として支払つた右金額をもつて被告の原告に対する本件事故による損害賠償債務を完済し、原告は被告に対し、請求し得べき残債権がなく、一方、被告は原告に対し右支払金の返還を求めることもできないといわなければならない。よつて、本件は本訴、反訴請求とも理由がないので棄却することとし、訴訟費用については民訴法八九条を適用し主文のとおり判決する。
(坂井芳雄 小長光馨一 佐々木一彦)